1.山岳環境 …… 北アメリカ・オーバービュー
北アメリカ大陸の特徴は、南北方向は赤道近くから北極圏、東西はニューファウンドランド島からアラスカまで、地球儀を三分するほどの変化に富んだ広大な土地が、メキシコ以南を除き、大国アメリカ、カナダ支配下において、ほぼ自由に通行可能だという事です。
アメリカの背骨ロッキー山脈は、アラスカと隣接するカナダ、ユーコン準州からメキシコとの国境テキサスまで北アメリカ西部を縦断し、北部永久凍土のツンドラ地帯に北アメリカの最高峰、白い魔女マウント・マッキンリー(6194m)を含むアラスカ山脈、マッケンジー山脈、カナダ最高峰マウント・ローガン(5959m)を含むランゲル&セント・エライアス山脈、中央部西の大森林地帯には、北部にコースト(海岸)山脈、南部にビッグ・ウォールのヨセミテ、巨木のセコイアで有名なシエラネバダ山脈を、それぞれ従えています。
アメリカ本土最高峰のマウント・ホイットニー(4418m)はシエラネバダの一部です。最高高度では、ロッキーよりも周辺山脈の方が高くなっているのが面白いところです。
北緯50度から60度の山域は特にカナディアン・ロッキーと呼ばれ、この一帯には7つの国立公園と20以上の州立公園や自然保護区が設定されており、マウント・ロブソン(3954m)を筆頭に荒々しい3000m級の岩山が多くの氷河、湖と共に林立し、世界の観光客を集めています。
その中心部コロンビア・アイスフィールドは晴天に恵まれる事は希で、絶えず厳しい気象にさらされています。太平洋からの湿った空気が山肌に当たり、夏でも風雪をもたらし、大氷原を形成します。ここから流れ出る水は、北極海、太平洋、大西洋へ注ぐ3本の大河を生み出します。
カナディアン・ロッキーでは7月まで雪が残り、直ぐまた9月には初雪が舞い始めます。夏は一瞬の移ろい。グレイシャー・リリー(カタクリ)やフォゲット・ミー・ナット(忘れな草)などの高山植物はあっという間に散って行きます。原生林は常緑のマツやモミの中にアスペン、カラマツなどが混じり、9月から10月にかけて鮮やかに黄葉し、森林限界ではアルパイン・ツンドラが山肌を紅く染めます。
森林限界は、アラスカで海抜約1000m、カナディアン・ロッキーで約2000m、コロラド・ロッキーで3000m付近となっています。
ロッキーに限らず、カナダは山に恵まれています。例えば西海岸の表玄関バンクーバーの裏庭でさえも北アルプスを彷彿させる山並みが広がっている、というのが僕の印象です。
アメリカ側のロッキーは、更に変化に富んだ顔を見せます。
カナダとの国境モンタナ州ではカナディアン・ロッキーと同じ荒々しい山容が、ワイオミング州に入ると標高が下がり、大きく穏やかな姿に変わります。数々の間欠泉で有名なイエローストーン国立公園はここに位置します。鋸のようなグランド・テトンがその直ぐ南に浮かび上がり、異質な光を放っています。
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